患者からの信頼も大変厚く、またその実績も大きかったベテランの看護師が定年で止むなく退職するとなると、大変残念な事であろう。
それはその様な名物看護師がいなくなるという喪失感だけでなく、その人の仕事を引き継ぐ後任に掛かるプレッシャーや責任の重さが大きなものになるという不安もあるだろうし、またそれによりスタッフ間の絶妙な連携や人間関係が崩れ、果たしてその後において病院内の業務が滞り無く回るかどうかという不確定要素にも由来するのである。
それらの不安要素をなるべく排除し新しい業務体系を確立する為にも、スタッフ間の会合やその看護師からの引き継ぎ業務は入念に行っておく必要があるのは言うまでも無い。
得てしてベテランスタッフというのは自らの熟練を理由に、本来分担されていた他の慣れないスタッフの役割までいつの間にか勝手に負ってしまうというパターンが多いものである。
そういった曖昧になりかけていた役割分担の線引きをきっちり引き直し残されたスタッフの役割を明確化し、各々にしっかりした責任感を持ち直してもらうという目的を第一とすべきであろう。
もちろんスタッフ個々に掛かるプレッシャーや責任も強くなるが、万が一負い切れなくなった時の他スタッフのフォローの仕方もきっちり決めておけば、実際トラブルが起きた時にも安心なのである。
そしてそれらに対する教育やアドバイスは引き継ぎの際、大きな信頼を得ていた退職するベテランスタッフ自らが行う事。
それにより残されたスタッフの不満や不安も解消するであろう。